生きている菌糸の必要性 
 今までの飼育結果からバクテリア等の微生物がバクテリアビン内の菌糸を全て食べ尽くす前にバクテリア等微生物の繁殖状態を見ながら多少の無駄は覚悟で、少し早めに新しいバクテリアビンに入れ替えた方が大きな成虫に成る確立が非常に高くなります。
 つまり、生きた菌床の中で生きた菌糸を食べながら増殖したバクテリア等の微生物を食べた幼虫の方が大きな成虫に成ることができるので、幼虫が入っているビンの中で生きた菌糸がどの様な状態で微生物に食べられているかが問題になります。当然、幼虫も生きた菌糸の固まりだけをより多く食べた方がより大きく成れます。

 アンタエウス飼育の実際例として、まだ菌糸が少し残っている状態で交換しながら育てた40gの幼虫は80mmを簡単に越してきますが、手を抜いて腐朽の進んだ可成り黒くなったバクテリアビンを長く使用して育てた幼虫は40g以上有っても77mm〜78mm位で終わって仕舞う傾向があります。
           ※
しかし、終齢幼虫の場合には交換はしないでください。
 尚、その後の国産飼育に於いても同様のことが言えますので付け加えておきます。

 この事は、菌糸が生きている状態で徐々に生きた菌糸を食べながらバクテリア等の微生物に支配権が継続して移った方が、幼虫の状態も遙かに良く、大きな成虫に成れると言うこと意味していると思われます。
 ただ、遺伝的な要素が優先されるので一概には言えないと思いますが、私の飼育結果としてはその傾向が強かったので最大級を狙う為には菌糸の残り具合に注意を払う必要が生じました。

 従って、単に菌糸の栄養価等を含んだ状態のマットを幼虫に食べさせるより、生きた菌糸の中で菌糸の作った生の栄養素を吸収して育ったバクテリア等の微生物を食べて同化吸収した幼虫の方が、遙かに大きな成虫に成ることができると思われ、特にアンタエウスはその効果が顕著に現れます。
 従って今思うに、マット飼育の限界はその点にあるのではないでしょうか?

 このことに因り、一般に使用されている添加剤やキノコの成分を只単に混ぜて幼虫に食べさせるマット飼育より、生きた菌床の中で生きた菌糸を食べながら繁殖した微生物を食べさせるバクテリアビン飼育の方が優れていると言う結果は実際の飼育からも否定できないと思います。

 クワガタ幼虫は草食動物なので多量のタンパク質補給には微生物との共生を利用するのが最高の方法だと思います。従って、タンパク源となる微生物の栄養価、つまり、微生物が食べている餌について今以上に考える必要があります。

 結論として生きた菌糸とバクテリアをうまく利用することにより80mmオーバーが簡単に作れるのだと感じました。