pHと硬度

 塩水の水分が蒸発すると塩分が濃くなって行く状態がマットや菌糸ビンの中で起こります。弱酸性の状態は強酸性に変化したり、水の中に含まれている金属イオン等の濃度が上がり、硬度が高くなって行きます。

 自然界での水分補給は通常、雨に因って行われます。多少の不純物を降ってくる途中で含むとしても、雨は何も含んでいない硬度0の蒸留水と思って良いでしょう。従って、何回蒸発しても後に何も残らないのが常です。

 しかし、水道水(硬度3〜5)の様に不純物を多く含んだ水は蒸発する度に、塩水が濃くなるのと同様に、後に多量の不純物を残して行きます。つまり、この不純物がせっかく産み付けられた卵の表面を硬化させ、卵が割れて死んでしまうのです。これは、乾いてきたマット等に水を補給する度に繰り返されて最悪の状態を招くのです。

 更に、タンパク質の腐敗に因って作られたアンモニアが硝酸等の酸性物質になり、水分の蒸発により酸性度が強くなり、やがては卵を溶かしてしまいます。
 卵は産んでくれるのだが、受精している卵が孵化しない原因の殆どだと言えるでしょう。

 実際の症状として、”卵が赤くなり孵化しない”、”少し膨らんでは来たがそのままである”、”割れて潰れてしまう”、”消えてしまう”等が上げられます。全てが同じ原因だと言えませんが注意してください。

 いろいろな対処の仕方が有りますが、皆さんも考えてください。

 以前、熱帯魚ディスカスのブリーディングで使用していたイオン交換器の樹脂を新品に入れ替えました。水道水に含まれる伝導物質、特に金属イオンは羽化の時期を狂わせる兆候があるので避ける為です。

 現在、私は山梨駒ヶ岳の湧き水を使用していますが、材を漬けたり、マットに混ぜる水には何も含まれていない方が有利だと考えられます。なぜなら、蒸発した後に残ったイオン物質の濃度を元に戻すには不純物の含まれていない純水しかないからです。

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