孵化後から3齢に成るまでの体内バクテリアの推移

その1

主題  
 2齢までの大きさが異常に大きいので、”これなら最大級を狙えるぞ!”とがんばってみたら、意に反して出てきた成虫は小さくがっかりした経験がありませんか?
 確かに個々の遺伝的要素を越すことは出来ませんが、大きく成る要素がなければ2齢幼虫は驚く程の大きさに成らないと考えられます。つまり、大きな2齢幼虫は大きな成虫に成る要素があったので他の幼虫と比較して大きく成れたと言えます。

 3齢初期の大きな幼虫がなぜ大きな成虫に成れないのか?について考えてみます。

内容
 参考文献の紹介でお知らせしたシロアリの生態という本に、”脱皮の際にはシロアリの消化管が空になるので、共生微生物がその時に同化吸収されると思われる。”と書いてありました。従って、このことは考え方が飛躍しているかも知れませんが、体内から殆どのバクテリア等の微生物が体外へ排出されることも有り得ると推測しました。

 クワガタ幼虫が体内で共生微生物の働きを利用している証拠が有るか無いかは分かりませんが、バクテリア等を利用した飼育方法が大きな成虫を作出できるということから、今まで体内に居たバクテリア等の共生微生物が体外に排出されれば今後の成長に支障を来すと考えられます。

 つまりこの事は、2齢から3齢に脱皮した大きな3齢初期の幼虫が、もし、体内バクテリアを体外に排泄したとすれば、3齢に成った途端に成長が止まると言う現象が起こり得ます。
 従って、バクテリアの排泄が行われないとしても、年齢が変わった直後の幼虫には、バクテリアを含んだ食べ物を与えた方が良いという事になります。

 例えば、2齢まで体内バクテリアを利用して充分に育った幼虫が、通常の菌糸ビンの中で3齢に成り、体内のバクテリア等を全て排泄して居場所を変えて移動したら、菌床の中にバクテリア等が含まれていなければ補充ができないことになります。

 つまり、菌糸ビンの中の3齢幼虫は、菌糸に含まれる成分しか摂取できないことになり、3齢幼虫が思った程大きく育たなかったと言う現象につながると思われます。

 そこで、脱皮後の幼虫が食べる餌は、バクテリア等の共生微生物が充分に含まれていることが必要になります。
 飼育途中で掘り出してバクテリアマットを食べさせてから、再度菌糸ビンにも戻すという方法もありますが、3齢幼虫は環境の変化に付いて行けず暴れてしまう状況を生じます。

 従って、菌床の中にバクテリア等の共生微生物が予め存在することは最良の方法だと思います。